太陽光発電所の自立運転を利用して電気自動車を充電してみました♪
なお「自立運転ってなんの事だよ?」と思う方もいらっしゃるかと思いますので簡単に説明します。「自立運転機能」とは、たとえば大規模停電などの災害時でも、自立して電気を供給する事ができる様になる、という事です。、、って書くと大げさかな(;^ω^)。。 ようするに、停電時でも以下の写真の2コンセントから100V電源を取る事ができる様になる、という事です。
この自立運転機能を追加する為に、現状9台設置されているパワコン「KPV-A55-J4」のうち1台を「KPW-A55-J4 」に変更しました。ただし停電時自立運転できる電力は1500W(単相2線式100V)だけです。対して系統連携している時(停電時ではない通常時)は1パワコンあたり5500W(単相3線式200V)も九州電力へ供給しています。4000Wも捨てると考えると勿体ないですが、残念ながら「KPW-A55-J4 」がそういう仕様なので、致し方ないと割り切るしかありません。
尚、上記の系統連系で出力している5500Wを、停電時に利用する事も検討しました。おそらく技術的には可能です、、、が、それには改造が伴うので、技術的な課題はもちろん、改正FIT法や電気事業法など、法的な問題も発生します。いずれはチャレンジしたいですが、かなり苦労しそうなので、まずは簡単に自立運転可能なパワコンを設置するという方法を選択しました。
で、その新しく追加された「自立運転機能」の動作テストをする際、ついでに電気自動車も充電致しました(笑)。いや「ついで」という表現は間違いですね。この「停電時でも太陽光発電から電気自動車を充電できる」という機能はエネバカプロジェクトにおいては「必須な確認テスト」です。
以下、前置きが長くなってしまいましたが、その詳細を記載致します。
パワコンを自立運転モードにして電気自動車を充電してみる
以下、自分の備忘も含め、手順(実施したテスト内容)を記載致します。まずはパワコンの蓋を外す為、ネジを緩めていきます。
なお本番時(停電時など)において蓋を外すことは必須ではありません。ですが内部に隠されているモニタを見れば、様々なステータスが確認できる様になります。
次にブレーカをオフにします。なお当発電所では9台あるパワコンのうち、自立運転機能があるのは「番号1」のパワコンです。ですので該当するブレーカーだけを落し疑似的に停電を再現、他は通常通り運転させました。全部停止しちゃうと、それだけ売電収入が減ってしまいますので(;^ω^)。。
パワコンのモニタにエラーが表示され発電が停止しました。パワコン横のスイッチを長押しし、再度、パワコンを起動させます。
5秒ぐらいでしょうか? かなり長い間スイッチを押し続けると「カチカチッ」と音がしてパワコンが起動し「運転ランプ」が青色に点灯しました。(※なお先のブレーカをオフにした状態で起動すると「連携ランプ」は消灯したままになります。)
この状態で「自立運転用コンセント」に電気自動車の充電器を指しました。なお我が家はコントローラーを追加購入しているので100Vで電気自動車を充電する事が可能です。
充電する車両は「いつものミニキャブミーブ」を使用しました。
充電マークが点灯しました。成功です。30分ほど充電しましたが問題ありませんでした。
残念ながら、このタイミングで空が曇ってきました。今回の「自立運転機能」は当然、以前ご報告した「オフグリッド発電を利用して電気自動車を充電する実験」の様なバッファーとなるバッテリーは存在しません。ですので曇ったら全く発電できなくなってしまいます。今回は動作確認テストのみなので、ここで実験を中断する事にしました。
停電テストを終了し、元の系統連系モードに戻す
無事、電気自動車を充電する事が可能とわかりました。ですので元の系統連系モードに戻しましょう。売電できないともったいないですもんね(笑)。
以下、自分の備忘も含め、復帰する手順を記載致します。まずは先のブレーカーをオンにします。
すると「300秒のカウントダウン」がモニタに表示されるので、しばらく待ちましょう。
300秒経過したので電源ボタンを5秒以上、長押します。さきほど同様「カチカチッ」と音がしてパワコンが起動します。なお今回は「運転ランプ」と「連携ランプ」が同時に点灯します。
以上で系統連系へ再接続されました。なお念の為、監視モニタ等で確認した方が良いでしょう。(※当発電所は「エコめがね」で監視しています。)
うん、大丈夫そうですね♪ なお工事は9時~12時、テストは12時~13時に行いました。(ちなみに午後になると、PCS#1系統のパネルに影がかかってしまいます。つまり15時以降の発電低下はいつもの事です)
以上、自分の備忘も含めた記事でした。
補足&注意
なお電気自動車を充電できる事は判りましたが、このシステムでは不十分で、1日で電気自動車を100%する事は不可能だ、という点にご注意ください。理由は「100Vで充電する場合、電気自動車が満タンになるまで12~16時間ほど必要」だからです(三菱MiEVの場合)。対してソーラパネルは「長くて8時~18時の10時間」しか発電しません。しかも上記グラフを見る限り、冬場で1.5kW(1500W)を超えるのは「9時から15時の間の僅か6時間」しかありません。それも三菱MiEV(16kWhモデル)の場合の話です。よりバッテリーの大きいリーフの場合、とうぜん、充電時間もより長くなります。
ちなみに発電所全体の発電量は十分すぎるほど大きく、全体で49.5kW(過積載を含めば103kw)あります。しかし非常時1.5kW(1500W)しか使用できないという事は残り48kWを捨てているという事を意味します。もし、この捨ててる48kWを全部利用できたと仮定すると、三菱MiEVのバッテリは16kWhなので3分の1、つまり僅か20分で満充電できるって事になります。(注:単純計算での話。実際は20分で満充電する事は不可能です(;^_^A、、なぜなら100A超えちゃうからね。。)
つまり結論は「自立運転モード」では電気自動車を充電するには不十分という事です。実際は蓄電池や急速充電などを利用しない限り、あまり役に立ちそうもありません。(まぁそれでも、少しは充電できるって思えば、意味はあるかな(;^ω^))
よって冒頭にも書きましたが、いずれ蓄電池&急速充電の設置にチャレンジしたいと思います。たしかに改正FIT法や電気事業法など、法的な問題が発生しますが、技術的には可能です。それに「大規模停電などの災害時」だけでなく、「出力制御」や「過積載ピークカット」で捨てられた電力を電気自動車に貯める事にも応用できそうですし、そうすれば、その電力を夜間販売する事だって可能性になります。それはダックカーブの解消&収益アップも見込めるという事にも繋がります。うん、色々とアイデアが膨らみそうですね。やはり開発エンジニアにはポジティブシンキングが必要だなぁ(笑)。