アパートの防火管理体制見直し(賃貸マンション経営における甲種防火管理者)

以前、賃貸経営をするにあたり「甲種防火管理者」の資格を取得しましたが、そこで終わりではありません。むしろ始まりです。そこで今回は、私が経営するマンション(以下、当マンション)の防火安全対策の見直しを図ります。

現状の防火設備

まずは現状分析をします。当マンションは「二方向避難・開放型特定住宅」です。よって総務省令第40号を遵守し「住戸用自動火災報知設備」および「共同住宅用非常警報設備」を設置してあります。じつは「甲種防火管理者」の資格を取るまで、私はコレを正確に理解していませんでした。(;・∀・)だって用語が難しいんですもん。なので施工前の時点では防火設備は設計者に任せっきり、素人がごちゃごちゃ口を出さない方が良いという認識でした(もちろん「防火をしっかりお願いしますね」と一言声は掛けましたが)。

しかし「甲種防火管理者」の資格を取得し、やっと「住戸用自動火災報知設備」および「共同住宅用非常警報設備」とは、どういう物かを正確に理解する事ができました。以下の写真をご参照下さい。

つまり、住戸用受信機から発せられた火災信号を受信し、火災の発生を戸外へ報知する戸外表示器(つまりインターホンが「火事です!火事です!」と戸外に知らせる)機能はあるのですが、あくまで各住戸内で完結しているのです。もちろんマンション全体に火災を知らせる「共同住宅用非常警報設備」もあるのですが、これは誰かが非常ボタンを押さないと鳴りません。
これって、よく考えると怖いですよね(; ・`д・´) だって隣人が留守だった場合、誰も火災報知に気がづかず、マンションの住民が逃げ遅れる可能性があるって事ですよね?
なお、この設備では不完全に見えるかもしれませんが、ちゃんと国がこの設備で良いを定めている事です。(つまり当マンションは、ちゃんと法令を遵守しています)

(■出典元:能美防災株式会社 総務省令40号 適用設備早見フローチャート)
https://www.nohmi.co.jp/product/lisa/knowledge/need/flow_chart.html

なお、ここで言う「二方向避難・開放型特定住宅」とは何でしょう。これは、オフィスビルの様にベランダや廊下が密閉されておらず(=つまり火災時に避難路に煙が充満しない)、かつ、2方向以上に避難経路が設置されている(=つまり火事現場を通らずに避難できる)という事です。

上記の様に安全な避難経路が確保されているから、スプリンクラーや、共同住宅用自動火災報知器(自動的にマンション全体に火災報知を行う装置)の設置が免除されているのです。またRC造マンションの気密性も高く、一部屋のみで火災が留まる事例が殆どで、となりの部屋に延焼しにくい点も、これらの免除理由になっていると聞いた事があります。(ただし私は消防の専門家ではありません。なぜ免除されるかに関しては、より消防に詳しい専門家の方のサイトをご参考願います。)

「賃貸アパート」の防火体制について考察する

ただ私は今回、ここから更に考察致しました。うちの場合は「賃貸アパート」なのです。
消防署の方からしてみれば大勢の人が住む共用住宅なんだから、賃貸だろうが分譲だろうが、同じ様に防火管理をしっかりしてください(火事をおこさないで下さい)と言うのはアタリマエです。だから「賃貸」であろうが「分譲」であろうが消防法は同じになるハズです。ですが正直な事を言うと、賃貸マンションの場合、入居者様の防災意識は、分譲マンションより低くなってしまうと思います。まず、以下の図を見て下さい。



もちろん全てがコレに当てはまる訳では無いですが、少なくとも私の経営するマンションは「ターゲットは単身~カップル」向け物件です。日中はお仕事で留守をしている入居者様が殆どというのが実情です。対して分譲の場合、一生涯、そこに住むつもりで購入した家ですから、当然、ご近所付き合いを大事にします。またファミリー層が多いので、自然と横のつながりも深くなっていくでしょう。また自分の財産ですから、当然、防災意識も高くなると思います。

それに比べ賃貸住宅の場合、分譲に比べると防災意識は低くなってしまうと思います。これは自分の財産か財産じゃないのか、とう事なので、どうする事もできません。また日中留守にしている可能性も高くなると推測できます。

対策と実施

前述に様々なネガティブな要因を説明してきました。では、どうすれば良いのでしょうか? 私は以下の様な対策を実施いたしました。

今回、実施した対策
1.セコム株式会社に防火管理の業務を一部委託(遠隔移報方式)。火災時など非常事態に駆けつけて頂く。また「消防署への通報」「避難誘導」「初期消火」も行っていただく様に依頼。

2.リモートカメラを設置し発砲元の部屋番号をセコムへ連携。セコムより入居者へ電話にて安否・状況確認をして頂く(ただし入居者様に「セコムへの個人情報提供」の同意を頂く必要有り)

3.有事の際は、インターネット経由で防犯カメラを監視できる様にする。また管理会社様の24時間緊急対応(SEIWA24)と連動して頂く様に依頼。

4.さらに近隣の自治会(朝日通り町内会)にもご協力いただき、防火管理業務の補佐をお願いする。(防火管理者への連絡、居住者に対する消火、通報、及び、消火訓練の呼びかけ等)

5.防火管理者の人員補充(私以外の社員にも取得させる)

ただし、これらも幾つかハードルがありました。まず「3.インターネット経由で防犯カメラを監視」、これは色々と面倒でした。(その詳細はコチラの別記事にまとめてあります)。幸いな事に「4.自治会との連携」はスムーズに行きました。(日ごろからある程度、近隣の方とコミュニケーションをとっていて良かった(#^.^#))。また「5.防火管理者の人員補充」もあっさりクリアできました。ただ「1.セコムの連携」、これは本当に、色々な関係者を巻き込んでしまい困難を極めました。先に述べたとおり当マンションは「住戸用自動火災報知設備」と「共同住宅用非常警報設備」しか設置してありません。なので住戸火災の場合、セコムが異常信号を検知できないという事が判明しました。そこで様々な人に相談し、アドバイスを頂きました。結果、管理人室用の集合玄関親機を導入し、同時に、セコム様にいち早く発砲元の部屋番号を知らせるためにリモートカメラも設置するシステムを構築できました。(下図を参照)

なお、この方法だと設備追加などに掛かる費用は比較的少額です(親機は中古なども出回っており10万円前後で購入可能)。ただ、この先10年以上にわたって発生する運用コストを計算すると、かなり高額になってきます。正直、下手をしたら賃貸経営を圧迫しかねない程の金額です。ですが当マンションは、小さいお子さんがいるご家族も居ます。ですから防火設備体制は万全にしたいという思いで、私は今回の決断を致しました。

それに、思わぬ副産物がついてきました。室内モニタの「非常ボタン」を押すとセコムが駆けつけてくれる、というシステムも構築できたのです。これは当マンションの付加価値の向上に繋がり、入居促進のアイテムにもなります。同時に今回、「3.インターネット経由で防犯カメラを監視」する設備も追加致しました。(詳細に関してはコチラの別記事にまとめてあります)。このように色々と苦労していますが、こういった活動を内外に発信する事で、さらに入居促進にも繋げられると思います。

ただ、どんなに防火設備を良くした所で、100%火災を防ぐ事はできないと思います。この前、当マンションにタバコの吸い殻が散見される出来事がありました。

管理会社からの報告


対策のビラ配布


すぐさま管理会社と協議し対策を講じて頂きました。ただ結局、どんなに設備を良くしても、そこに居る人の意識が高く無ければ意味が無い事を痛感致しました。加えて以前にも書いたとおり「賃貸で防災訓練」なんて実施していない所が殆ど、というのが実情の様です。分譲と異なり居住年数が短い賃貸では、防火訓練をしたところで引っ越してしまう方も多くいらっしゃるでしょうし、火元責任者になってくれとお願いしずらい所にも一因があると思います。ですが「タバコの吸い殻が散見」される様では、やはり防火訓練を実施する必要がありそうですね。幸い、防火設備点検会社様やセコム様に相談したところ、防火訓練への参加やレクチャーにも対応頂けるとの事でした。また近隣消防署は水消火器などを貸し出してくれます。加えて現在、当マンションと同じ建設会社が施工したマンションが近隣に数件竣工致しました。とうぜん防火設備も似たようなマンションです。ですので合同訓練という形も良いかもしれませんね。現在、管理会社に対応可能か問い合わせています。

この様に、今後も入居者様の安全を確保しつつ防火意識を高めていく等、まだまだ防火管理体制の改善は必要そうです。

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